【実体験】アスペルガーの人が話を理解できないのは、とてつもなく論理的だったから。

「アスペルガー症候群」を知っていますか?

「空気が読めない」「話が通じない」などと言われるアスペルガー症候群の人ですが、

実はその脳内はとんでもなく

論理的

なのです。


今回は具体的にそれを解説していきます。



【目次】


1 アスペルガー症候群の主な特徴

2 アスペルガーの人とそうでない人の具体的な会話例

3 アスペルガーの人の思考はどう働いていたのか

4 まとめ・アスペルガーの人の見える世界


1 アスペルガー症候群の特徴

一般的に言われているのは、以下のようなものです。↓


・言葉の裏の意味が分からない

・空気が読めない

・暗黙のルールが分からない

・頑固

・表情が乏しい

・一気に言われるとよくわからなくなる

・独特な個性、好み

・熱しやすく冷めやすい

・話し方が堅苦しい

・自分以外の人に関心がない

・「共感」よりも「事態の解決」

・自分に言われていることが分からない

・感情的にものを言われる、または声が不快だと聞きたくない

真面目で自分をしっかり持っているという点ではプラスになりますが、

コミュニケーション力や理解力についてはアスペルガーでない人についていくのが難しいと言えます。

また、こだわりが強いため、一人で黙々とやる方が得意ですが、

アスペルガーには案外人と話すことの好きな人も多いので、そういうコミュニケーション力の極力いらないチャットなどにのめり込んでしまいやすいです。



そんなアスペルガー症候群ですが、現在100人に1人が持っていると言われています。

いつどこでアスペルガーの人とかかわることになってもおかしくない、ということです。


では、そんなアスペルガーの人との会話はどのようになるのか、具体例を挙げてみます。→


2 アスペルガーの人とそうでない人の

  具体的な会話例


ここではいくつかの例に分けて、会話の特徴を解説します。

アスペルガー症候群の「A子」と周囲の人々の会話です。



【例1】

母 「ちょっと部屋掃除して」

A子 「はーい」


ー10分後ー

(部屋で遊んでいるA子を見て)

母 「こら!まだ掃除できてないじゃない」

A子 「え・・・?ちょっとは掃除したけど・・・」



【例1】について、

この場合A子は「ちょっと」と言われたので、ちょっとしか掃除していません。

言葉の意味をそのまま受け取っています。

これは特徴のうち「言葉の裏の意味が分からない」に入ります。



【例2】

B子 「ねえねえA子聞いてよー」

A子 「なに?」

B子 「昨日S美が私のことブタって言ってきたんだよ、ひどくない?」


A子 「え、でもブタって体脂肪率が人間より全然低いんだよ、だから大丈夫だよ」

B子 「あ、うん・・・」



【例2】について、

B子は共感を求めています。しかしA子はそれに対し事実で返しています。

A子はB子がブタ(つまり太っている)と言われたことが嫌だとしか思っていないので、

ブタ=太っているではない、S美は間違っていることを証明して、B子の問題を解決しようとしているのです。


聞くだけ聞いてなにも助けてくれないよりはいいかもしれませんが、

それでも共感は欲しいというのが人間、特に女子の本能です。

これは「『共感』よりも『事態の解決』」に当てはまります。



【例3】

(A子とC子は、女子トイレで二人きり)

C子 「今度彼とのデートと、行きたいアルバイトが重なってるんだよね、」

A子 「(どう反応すればいいか少し考えて)それは大変だね」

C子 「ほんと、どうしたらいいかな?」

A子 「うん・・・」


C子 「うん、じゃなくて、A子も一緒に考えてよー!」

A子 「え、『どうしたらいいかな』って私に言ってたの!?」

C子 「そりゃそうだよ!」



【例3】について、

A子はC子の「どうしたらいいかな」が自分に向けて言われているとは思っていませんでした。

二人きりの時にそういわれたら、普通は何か自分の意見を返しますが、

A子の場合とりあえず何かを返そうとして「うん」と言っています。

取り合えず「うん」や「はい」と返すのもアスペルガーの特徴の一つです。


また、A子は「それは大変だね」と言っていますが、その返事が会話として正しいのかも少し疑問なところです。考えた結果「大変」と思ってほしいのだろうかという思考に至るのは、アスペルガー女子に多い特徴です。



さて、どうしてA子はこんなにコミュニケーションが苦手なのでしょうか。

実はアスペルガーの特徴のほとんどは、「超論理的」な思考回路が原因だったのです。

それを踏まえたうえで、この会話の中でのA子の思考回路の流れを見ていきましょう。→


3 アスペルガーの人の思考はどう働いていたのか



・A=Aと決まっているなら、例外でBになることはありえない

例えば【例1】の会話は、「ちょっと片付けて」という言葉をA子は「ちょっとだけ片付ける」ということだと認識しています。


一般的に考えると部屋が汚くて「ちょっと片付けて」と言われれば、きっちり片付けるのが普通ですが、

実際「ちょっと」の意味を聞かれたときに、多くの人は

「少し、わずか」

と答えます。

つまり、ほとんどの人にとってちょっとの意味とは「少し、わずか」なのであって、

「ちょっと片付けて」と言われた時の「ちょっと」は呼びかけであることなど、

感覚的に覚えるものなのです。


しかしアスペルガーの人の思考回路は「感覚的に覚える」ではなく「はっきり覚える」なので、

「ちょっと=少し、わずか」ならば「または呼びかけにも使う」なんていうことは考えないのです。小さいころからそう習うので、よく考えればこれが当然かもしれません。

また考えていたにしても、とっさにその判断をするのは難しいです。



・問題は共感しても無駄、解決するべし

これは【例2】の話です。A子はB子の話に対し、共感ではなくB子が不快に思ったことへの解決法を提示しています。


不思議なことに人間は問題を打ち明ける時、解決よりも共感を求めます。

それは、今まで問題で困ってきて苦しかった自分の心を相手にねぎらってほしいからです。ある意味、この常識は図々しいとも言えるような気もします。


その点において、アスペルガーの人は共感のような無駄なことを求めているのではなく、

相談してきたからには解決という意味のある結果を求めているのだと判断してしまいます。

これはアスペルガーの特徴の中でも、最も論理的で筋の通った特徴と言えます。

逆に何故自分は相談するときに共感を求めていたのか、と考えさせられてしまいます。



・反応は返さないといけないというルールがない

これは【例3】のうち、初めにC子が言った悩みに対しA子が「大変だね」と答えたことについてです。

A子はこの時、「今度彼とのデートと、行きたいアルバイトが重なってるんだよね、」というC子の言葉にどう返せばいいか考えた結果に「大変だね」と返しています。


しかしなぜA子はどう反応すればいいか考えたのでしょうか。


それはA子には「反応を返す」という常識がないからです。

反応を返すというのは「聞いている」ということの証明ですが、アスペルガーの人は

「こんなに近くで会話しているんだから聞いているに決まっている。」

という風に思考が進みます。無駄は省いてスッキリさせようとする性質があるためこうなるのです。

そのため話を聞いていないと思われるのです。


けれど、アスペルガーの人とは言え経験の中で「反応を返さないと聞いていないと思われる」ということを覚えていきます。

その時、とにかく何か反応を返さないとと考えるので、会話の内容を聞きながら、この場合はどういう風に返せばいいか、と脳をフル回転させます。

しかしその時の言葉のチョイスが難しく、ちぐはぐなものになってしまい、結果やはり聞いていないと思われてしまいます。



・自分の意見を言う必要はない

「どうしたらいいかな」というC子の発言に対し、A子が自分に聞いていたと思わなかったことについてです。


アスペルガー症候群の人にとって、相手の会話とは

「こういうことを言っている」「この言葉の意味を理解しよう」

というものです。簡単に言ってしまえば、書かれていることを聞いているようなものです。


アスペルガーの人は国語の教科書の意見文と、会話を同じように認識していると言えます。

国語の教科書の意見文に、

「この問題についてあなたはどう考えるでしょうか。私はこう考えます。理由は・・・」

などと書かれていて、

いちいち「私はこう考えるけど・・・」という風に考える人は少ないと思います。

つまりはそれと同じ発想を、実際の会話でもしているということです。


重要なのは自分の話ではなく、話し始めた相手の話なのです。


4 まとめ・アスペルガーの人の見える世界

最後に、そんなアスペルガーの人に見える世界を具体的に考えてみましょう。


周りの人々は日本語と同時に、自分にはどうしてもわからない言語を使って話しているようなものです。

「空気を読む」というのは生まれたときからできれば簡単ですが、そうでないと難しいものです。それはまるで大きくなってから英語を学ぶようなものです。


それでも英語を完璧に使ってイギリスの人とぺらぺら話せるわけではないように、

生まれたときから空気を読んでいた人たちには追い付くのは困難です。



このまとめに書いた話、そしてA子の言動は実はすべて私の実体験をもとにしています。

私はアスペルガーとADHDを持っています。そのためなかなか堅苦しい言い回しを抜けることができません。


しかしアスペルガーなどの人が増える中、そういう人をコミュニケーション障害と言って分けるのではなく、そういう人がいて当たり前、

アスペルガーの人とそうでない人の違いがダックスとチワワの違いくらい当たり前のことだと思える社会になって言ったらいいなと私は願います。


長文になりましたが、ありがとうございました。

万屋サイボーグ

よろしくお願いします!

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